【従業員インタビュー③】「20年先も残る仕事を作る」――鉄道工事を担う袴田遼さんが語るものづくりの誇り

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鉄道インフラを陰から支える現場には、私たちの想像を超える壮大な作業が広がっています。株式会社テック・ネットで作業責任者として活躍する袴田遼さんに、そのダイナミックな日常や、仕事を通じて感じるやりがいを語っていただきました。太ももより太いケーブルを延線する驚きや、チームで作り上げたものが20年近く残るという誇らしさは、まさに“ものづくり”の原点とも言えます。インフラを担う責任感が求められる中でも、失敗を糧に次へ進む姿勢と、仲間との支え合いがあるからこそ挑戦し続けられる。仕事の合間に湧き出すユーモアや、思い切り体を動かせる環境でこそ感じられる充実感は、袴田さんだからこそ語れる鉄道工事の醍醐味です。




【① 社風・文化について】


―― 友人や家族に話したくなるような「社風」や「文化」を教えてください。

質問者:「一人ひとりがそれぞれの仕事をしっかり全うして、人数が必要なときには力を合わせて大きな案件を乗り切ると伺いましたが、実際はどんな雰囲気なのでしょうか。」

袴田さん:「各々がそれぞれの仕事を全うして、人数が必要な仕事は一丸となり大仕事を終わらせることが特徴ですね。現場ごとに役割分担がはっきりしているので、協力が必要なときは自然と声を掛け合えるんです。」



―― 先ほどのお話を聞くと、皆さんが自然に連携を取れるのは素敵ですね。社長の口癖や、会社として大切にしている考え・信念があれば教えてください。

袴田さん:「堅苦しい言葉遣いよりも、“謝るべきときにきちんと謝ること”や“感謝を言うべきときにしっかり伝えること”が大事にされています。そうした礼儀や感謝の気持ちを忘れない文化が根づいているんです。」



―― いつでも素直に謝ったり感謝を伝えたりできる環境は、働きやすそうですね。会社の夢や目標はどういったものがありますか。

袴田さん:「まずは私たちが職に困らないように、今の仕事を盤石にすることが第一だと思っています。多才な人材が集まっているので、盤石になれば事業拡大も見据えているかもしれません。」



―― 盤石な土台を作って、その先の拡大も視野に入れているのですね。よく話題になる会社の歴史やターニングポイントがあれば教えてください。

袴田さん:「元請け先から仕事を受ける部署が増えて、二つの部署の顔となれる存在にまでなれたのが大きな転機だと思います。以前は一つの部署がメインでしたが、今では社内の役割も広がりました。」



―― 部署が増えたことで会社の幅も広がったわけですね。もし社会科見学で子どもたちが来社したら、どんな会社の魅力を伝えたいですか。

袴田さん:「電車を動かす仕事を担っていて、しかも作った設備が20年近く残ることだと伝えたいです。子どもたちが大きくなっても、自分たちの仕事が形となって残り続けるのは誇りですよね。」




【②働く環境・待遇】


―― これは助かるなぁと思う、会社の制度や待遇があれば教えてください。

質問者:「仕事をしっかりこなすだけでなく、評価面でのサポート体制も気になりますが、実際はいかがでしょうか。」

袴田さん:「やればやった分だけ、きちんと評価していただける点だと思います。頑張ったぶんだけ評価されるので、モチベーションにつながりますね。」



―― そうした評価制度があると、頑張りがいも出そうです。どんな雰囲気の職場でしょうか。(広さ・置いてある物・音・インテリアなど)

袴田さん:「その日行く変電所によって変わります。東京ドームより広い敷地だったり、テニスコートくらいの小さな敷地だったり、現場ごとに全然違うので飽きません。」



―― 毎回違う職場環境というのは面白いですね。最近、話題になった社内だけの面白いエピソードをこっそり教えてください。

質問者:「ちょっとした事件やハプニングがあったら知りたいです。」

袴田さん:「リースした車が普通に走っていただけなのに、急にミラーが取れちゃったんです。すぐに停めて直しましたが、あれは本当にびっくりしました。」



―― それは驚きますね。社内でムードメーカーと言われる方はどんな方でしょうか。

袴田さん:「常務取締役です。ご本人は趣味でもプロライセンスを持っているくらいで、仕事にも趣味にも全力という感じですね。周りを盛り上げる力がすごいんです。」



―― 全力投球の方がいると、自然と士気も高まりそうです。入社前と入社後で感じたギャップはありましたか。

袴田さん:「現場仕事は長期休暇がないイメージでしたが、実際は逆に長期休暇があることです。しかも他の職業よりちょっと長めで、最初は驚きました。」



―― ギャップがいい方向に働くと嬉しいですね。どんな後輩が来たら頼もしそうですか。

袴田さん:「注意されても真摯に受け止めて、一緒に成長していける人が嬉しいです。素直に聞いてくれると、こちらも自然とサポートしたくなります。」



―― そういう姿勢は会社の雰囲気にも良い影響を与えそうです。社内で一番、趣味に熱い方をご存じですか。

袴田さん:「やっぱり常務取締役ですね。仕事も趣味も本気で突き詰めるタイプなので、誰もが『すごい』って尊敬してます。」



―― 本気で取り組む姿は周りの刺激にもなりますよね。休憩時間や休日の過ごし方で、面白いエピソードがあれば教えてください。

質問者:「みなさん現場仕事の合間をどうリフレッシュしているのか気になります。」

袴田さん:「昼休憩のときに、施工に使う電熱コンロでインスタントラーメンを作った人がいました。外で食べるラーメンは開放感があるって笑ってましたよ。」




【③仕事のやりがい・役割】


―― 仕事のスケジュールを教えてください。(1日単位・1週間単位・プロジェクト単位)

質問者:「現場によって期間が変わると伺いましたが、どのように進めているんでしょうか。」

袴田さん:「1日で終わる仕事から、年単位で完了を目指すプロジェクト工事まであります。そのときどきでスケジュールが大きく変わるんですよ。短期の案件もあれば、長期的に取り組むこともあって、柔軟に対応しています。」



―― 仕事の内容によって進行期間がバラバラだと、調整も大変そうですね。この仕事で「社会の役に立っている」と実感するのはどんなときですか。

袴田さん:「電車が止まってしまったようなトラブルを、私たちの作業の一端で解消して電車が動くようになったときですね。電車って多くの人にとって重要な移動手段なので、動かないとすごく大事だと改めて気づかされます。」



―― 大勢の人が困る場面で役立っていると考えると、やりがいがありますね。入社してからご自身が成長した、または変化したと感じる部分があれば教えてください。

袴田さん:「DIYが上手になりました(笑)。自分で必要な道具を工夫して作ったり、問題を解決するための発想力が身についたように思います。」



―― 現場での経験がプライベートでも役立つのは嬉しいですね。これは業界外の人には分からないだろうと思う独特の文化や用語があれば教えてください。

袴田さん:「文化というほどではないのですが、電気は意外とうるさいんです。高圧の設備なんかは常にブーンという音がしているので、初めて来る人はびっくりすると思います。」



―― その音は普段耳にしないものだから、驚きそうです。仕事について「これだけは!」と大切にしていることはありますか。

袴田さん:「私たちが作ったものが、20年近く残ることを意識しています。数年後や10数年後に見直したときに恥ずかしくないクオリティを届けたいので、そのときどんなに辛くても妥協はしないようにしているんです。」



―― 長く残るものだからこそ、手を抜かず良い仕事をしたいという思いが伝わります。印象に残っている顧客とのやりとりや仕事があれば教えてください。

袴田さん:「変電所のコアとなる設備を扱った際に、20メートルほどの低床トレーラーで心臓部の部品を搬入したんです。見るものすべてが初めてで圧巻でしたし、お客様と一緒に慎重に作業を進めたのがとても印象に残っています。」





【④エピソード・裏話】


―― 輝いている上司や面白い上司の武勇伝を教えてください。

質問者:「先ほど大きな設備を扱う仕事もあるとお聞きしましたが、上司の方々にもすごい経験をお持ちの方がいらっしゃるのでしょうか。」

袴田さん:「常務取締役がまさにそうですね。趣味でプロライセンスを持っているくらい行動力があり、現場でも率先して動いてくれるんです。仕事ぶりを見ると ‘やっぱりすごいな’って思います。」



―― 行動力がある上司だと、チーム全体が引き締まりそうです。カミナリが落ちた!と思うほど怒られたことはありますか。

袴田さん:「正直、私は怒られるのが得意ではないんです。怒られると何が悪かったか、次にどうすればいいか考えすぎて、立ち直るのに時間がかかります。でもそのおかげで失敗を繰り返さずに済むとも思っています。」



―― 同じことを繰り返さないよう意識するのは大事ですよね。仕事で失敗した後、どう立ち直りましたか。

質問者:「怒られたあとモチベーションを保つためにしていることはありますか。」

袴田さん:「どんなに落ち込んでも、一度冷静に振り返るようにしてます。それから ‘次は成功させるぞ’って意気込むと、少しずつ前向きになれます。」



―― 失敗の分析が次に活きるんですね。ちょっと変わった(面白い)前職の方はいらっしゃいますか。

袴田さん:「名前は伏せますが、某有名テーマパークの一部を手がけた人がいたり、以前飲食店の店長をしていた方もいます。みなさん経歴がさまざまで、最初は畑違いに戸惑うこともあるようですが、技術や考え方はむしろ活かせているみたいです。」



―― そういった多彩なバックグラウンドの方がいると、社内も面白そうですね。最近困ったことや、不穏だと思う出来事はありましたか。

袴田さん:「体を動かす日と動かさない日の差が激しくて、動く日と同じだけ食べ続けると体重が増えてしまうんです(笑)。あと、倉庫が新しく広くなりますが、整理や移動で少しバタバタしそうですね。」



―― 体重管理まで気を配るのは大変そうです。これだけは知ってほしい!と思う自社のことを教えてください。

袴田さん:「私たちが作ったものは、最低でも20年近く変電所や電車の一部として残り続けます。何年も経って見返したときに ‘自分の仕事だ’と誇れるように手を抜かずに取り組んでいるんです。」



―― 長い年月、形として残るのはやりがいにつながりますね。家族や友人、恋人に自慢するとしたら、どんな部分を語りますか。

袴田さん:「やっぱり電車を動かす一端を担っているところです。自分が携わった設備を利用して、多くの人が毎日移動しているんだと考えると、改めて ‘すごい仕事してるな’って思えますね。」




【⑤キャリアと成長】


―― 転職(応募)のキッカケや今の会社に興味を持った理由はなんですか。

質問者:「初めはスポットでのお手伝いという形だったそうですが、そこから本格的に入社しようと思ったのはどうしてでしょう。」

袴田さん:「前職は飲食業だったのですが、コロナが出始めたころに危機感を覚えて退職しました。一方で、鉄道に関わる仕事は疫病の影響を受けにくいかなと思い興味を持ちました。働いてみるとやりがいも大きく、続けるうちに本格的に社員としてやっていこうと決めたんです。」



―― 確かに公共インフラは需要が安定しているイメージがありますね。前職の退職理由が今の会社で解消されたかどうかも気になります。

袴田さん:「飲食店の仕事はコロナ禍で厳しくなり不安を感じていたんですが、今の職種ではそういった面での心配が少ないので解消されました。」



―― 安定感を得られたのは大きいですね。入社して最初に「凄い」と思った会社の話や先輩を聞かせてください。

袴田さん:「太ももより太いケーブルを延線する仕事があって、そんなものを扱うんだ!と驚きました。先輩たちがテキパキ進める姿を見て ‘すごい…’と圧倒されましたね。」



―― 目にするものがスケール違いだと、経験を積むにも刺激が多そうです。先輩や同僚に言われて「うれしかったひと言」があれば教えてください。

袴田さん:「明確な言葉じゃなくても ‘手元の補助を任せる’とか ‘次の作業は一人でやってみな’と信頼されているような場面があると、やっぱりうれしいですね。」



―― 一つひとつ仕事を任されると成長を実感できそうです。若い世代の方(次の世代)はどんな活躍や奮闘をされていますか。

袴田さん:「ベテランの方に仕事を教わりながら、自分の現場をしっかり施工する人が増えています。毎回学ぶことがあるので、次世代の人たちも着実に力をつけている印象です。」



―― 頼もしいですね。最後に、今後の夢や目標を熱く語ってください。

袴田さん:「これを見ている皆さんと一緒に働きたいです(笑)。倉庫が新しく広くなるので、より大きな仕事を受けられるようになるかもしれません。何より自分たちが携わったものが20年も残る仕事なので、クオリティにはしっかりこだわっていきたいと思っています。もっと多彩な案件に挑戦して、社内外から頼られる存在になりたいですね。」




まとめ

インタビューを通じて、単なる工事ではなく、人々の暮らしや未来を支える使命感が大きな原動力になっていることを感じました。長期的に残る成果物を手がける責任の重さと、そのぶんのやりがいを日々実感する袴田さん。自分たちが作ったものを何年後かに見返したときの誇らしさこそ、ここで働く最大の魅力なのかもしれません。現場に欠かせないチームワークや前向きな挑戦心が、次の世代へのバトンをつなぐ原動力にもなっています。仕事を終えたあとの達成感や、笑い合いながら進む作業風景に、インフラを支える現場ならではの熱量を感じずにはいられません。これからも電車と人々の暮らしを守り続ける彼らの奮闘が、多くの人の移動と日常を支えていくのだと実感しました。 ​